注意!当院は乳幼児の診察を行っていないため、乳幼児のインフルエンザの話はかなり省略しています。
公開日2002.10.01 更新日 2004.12.08 更新履歴 HOMEへ(メニューを表示) メニューを隠す
記事はあくまでも参考に留め、治療方針は診療医師と相談してください。
インフルエンザ流行状況 各県のABタイプ別発生状 2004.10.19リンク確認
(1)【予防接種】 料金と予約について 【インフルエンザ総目次へ】
01)インフルエンザの予防接種はいつごろ受けると効果的ですか?
02)インフルエンザの予防接種は何回受ければよいのですか?(2003.01.04情報追加修正)
03)インフルエンザの予防接種は毎年必要ですか?
04)特に予防接種を受けた方がよいのはどのような人ですか?
05)心臓疾患や腎疾患などの基礎疾患がある人は予防接種は要注意と言われたが本当ですか?
06)妊婦はインフルエンザの予防接種を受けることができますか?
07)卵アレルギーのある人はインフルエンザの予防接種はできますか?
08)インフルエンザ予防接種の副反応は大丈夫でしょうか? 2003.2.17追記
09)インフルエンザの予防接種の費用はどうなっていますか?
10)インフルエンザワクチンで健康被害が発生した場合は、どのような対応がなされるのですか?
11)乳幼児にもインフルエンザ予防接種は有効ですか?
12)予防接種をうけるのに予約がいりますか?
A:通常、11月から12月の中旬までをお勧めします。
インフルエンザ予防接種の効果が現れるまで約2週間程度かかり、約1ヶ月で頂点に達します。その後、効果は約5ヶ月持続します。インフルエンザの流行は12月下旬から3月上旬が中心になるので、12月中旬までに接種をすまされることをお勧めします。接種回数は小学生以下の小児は2回接種が必要です。2回目は1回目から4週間あけたほうが、予防接種の効果が確実なようです。この期間に風邪をひき、接種が延期になることがありますので、1回目は早めに接種しましょう。
A:海外では13歳以上は1回でもよいと言われています。
12歳までは4週間隔で2回接種する必要があります。欧米では13歳以上では1回接種でも有効であるとされています。欧米では、13歳以上になると過去に似た型のインフルエンザウイルスに接していることが多く、基礎免疫を獲得しているので1回の接種で追加免疫の効果が期待できるとされています。
これらを参考に、日本でも接種回数に関する再検討が行われ、2001年に65歳以上に関しては1回の接種で有効とされました。しかし、13歳〜64歳までに関しては日本の調査研究はまだ不十分なので、1回と2回接種の併記となり、曖昧な勧告になっています。「アメリカでは、9歳以上は1回でよく、幼小児でも前年2回接種していれば今年は1回でよいとしている」との記載も見られます。当院としては、13歳以上は原則1回としています。ただし、1回よりも2回の方が効果が確実なようです。また将来 新しい型のインフルエンザウイルスが出現した場合には、大人でも2回接種が必要です。 インフルエンザワクチンには、同じ種類のワクチンを間隔をあけて接種すると効果が増強する「ブースター効果」(booster=尻押しするもの)が認められています。間隔は1〜4週間とされていますが、4週間あけたほうが効果が確実です。
抗体価40倍以上を獲得した人の割合(右図) 1999-2000年シーズンに東京都老人医療センターに外来通院した高齢者100人を対象に、ワクチン接種後のインフルエンザ抗体価(HI抗体)の推移を調べた。 授乳ブラジャー何を探すために その結果では、A型の場合、ワクチン接種前に抗体価が40倍以上を示した人は北京株、シドニー株とも1回と2回接種後と大差なかった。 B型山東株では、抗体価の上昇率は高くはなかったが、1回接種でも2回接種とほぼ同様の抗体価が得られた。ワクチン2回接種後にさらに抗体価が上がる人は全体の数%しかいなかった。つまり、2回接種のメリットがある人はごく一部といえます。 (出典:日経メディカル2000.10月号 稲松氏 )
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【追加情報】 2003.01.04追記
日本臨床内科医会がおこなった、2001/2002年冬インフルエンザに対するワクチンの有効性の研究(下図)によると、15歳以下では1、2回接種ともに有効、2回の方が有効率が高い傾向でした(まだ、数が少ないため、一部では差がでていないようです)。15〜64歳では2回接種の有効性を確認、1回接種は罹患率が減少する傾向はあるが明らかな有効性はまだ証明できていません。
1回と2回接種の比較では、2回の方が効果がよい傾向は見られますが、統計的には差があったと言えるのは、15歳以下のインフルエンザ様疾患の罹患率のみでした。
なおこの報告は、厳格な臨床試験(コントロール試験)ではなく、疫学調査(前向き調査研究)です。調査は症例数をさらに増やすため現在も進行中です。
インフルエンザ様疾患およびインフルエンザの罹患率
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症例数:15歳以下=1,553人 、16-64歳=2,865人 、65歳以上=4,423人 、全体=8,841
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インフルエンザ様疾患になった人 =127人、迅速検査でインフルエンザを診断された人 = 65人
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出典:日本医事新報の2002.12.21号(4104号:P16-24)
A:予防接種を受けた方がよいと判断される対象者は、毎年受けることを勧めます。
インフルエンザウイルスの型は毎年変化するため、今年流行が予測されるウイルス株にあったワクチンを接種しておくことが勧められます。どの様な人が予防接種を受けた方がよいかは、次のQ4を参考にしてください。 ワクチンの効果は接種後2週間頃から効果が出て、持続する有効期間は約5か月と短期間です。毎年流行する前に接種を受け、免疫を高めておくことが必要です。なおワクチンは通常3〜4種類の型の成分を含んでいます。
A:高齢者、呼吸器疾患、心臓病、糖尿病、腎不全、免疫不全の人などです。当院では受験生にも勧めています。
65歳以上の高齢者、気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全、先天性心疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)などは、インフルエンザの重症化を防ぐためにワクチンによる予防が望ましいと考えられます。 乳幼児に関しては議論中のところでもありますが、脳炎・脳症の予防に役立つとの報告もあり、積極的に勧める小児科医もいます。しかし、乳幼児に対する効果はまだ検討段階です。
また、乳幼児に対しては現在の不活化ワクチンは効果が不十分といわれ、新しいワクチンの開発も行われています。 また、医療従事者などこれらの方と接する機会が多い方も「インフルエンザを伝播させない」ために予防しておく方が望ましいと推奨されています。同様に、上記の危険群の方にインフルエンザをうつさないようにするため、同居やお世話をしている人にもワクチン接種をお勧めすることがあります。
インフルエンザの年齢別罹患率と死亡率
インフルエンザにかかる人数では小学生が大変多く、これに比べると高齢者でインフルエンザにかかる人数は少ない。しかし、高齢者では肺炎などの重症合併症が多く、死亡率はずっと高くなります。
肥満への解決策は何ですか
インフルエンザの死亡者は幼児でやや多い以外、ほとんどが高齢者で、60-65歳以上では年齢とともの死亡率が急増します(グラフ:インフルエンザ情報サービス)。また高齢者でなくとも合併疾患があると死亡率が高くなります。
インフルエンザの診断が難しかった頃の資料ですので実際の死亡者数は図の人数よりはるかに多いと考えられます。この点は注意下さい。
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参考までに2001年米国の予防接種諮問委員会(ACIP)の予防接種を強く勧告する対象者一覧表を列挙します(米国の報告です)
【インフルエンザの合併症が極めて起こりやすいグループ】
・50歳以上の人々
・養護施設および年齢を問わず慢性疾患で療養している療養施設の入居者。
・心肺に慢性疾患をもつ成人ならびに小児。喘息を含む。
・糖尿病を含む慢性代謝性疾患、腎不全、血色素異常症、あるいは薬剤またはHIVによる免疫異常状態(エイズ)でこの1年入院しているか、定期的に通院している成人ならびに小児。
・長期にわたるアスピリン治療を受けているため、インフルエンザでライ症候群になる危険性が高い6か月から18歳までの小児ならびにティーンエイジャー。
・妊婦でインフルエンザシーズンが、妊娠第2・第3、3半期にあたると予想される人。
【危険度の高い人々にインフルエンザを移す可能性のある人々】
・病棟や外来で仕事をする医師、看護婦、その他の従業員。救急隊員も含む。
・患者や入居者と接触する養護ホームや長期療養施設の職員。
・ハイリスクの人々のための援助住宅の従業員。
・ハイリスクの人々に訪問介護を行う人々。
・ハイリスクの人がいる子供を含む家族全員。
参考資料:ACIP:Prevention and Control of lnfluenza . MMWR49/NO.2000;RR-3:1-38
インフルエンザにかかると、高齢者の1/4が肺炎をおこすといわれ、危険な状態になることも少なくありません。世界中の先進国では、高齢者のインフルエンザ予防接種率は60〜70%にも達しています。 日本では2000年冬には約1,400人がインフルエンザで死亡したと報告されていますが、このほとんどが65歳以上です。しかし、実際はこの10倍の高齢者の死亡が推定されています。 |
A:確かに添付書類には書かれていますが、米国では削除されています。これらの人こそ最も予防接種を行うべきです。
心臓疾患や腎疾患などの基礎疾患を有する者も接種要注意者となっています。重症の副作用がでたときの危険性を考えたものと思われます。しかし、これらの人こそ予防接種が必要な対象者です。アメリカなどのように、この項は添付書から削除すべきでしょう。
参考:月間保団連2000.11月号 特集インフルエンザをどうみる
A:米国では勧めています。日本では、はっきり勧めた方がよいという調査報告はまだありません。
インフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンであり、胎児に影響を与えるとは考えられていませんので、妊婦が予防接種をしてはいけないという理由はありません。今のところ妊婦に接種した場合に生ずる特別な副反応の報告はありません。
米国ではインフルエンザシーズンが、妊娠第2ならび第3、3半期にあたると予想されるものに予防接種を勧めています。しかし、日本では妊婦に対してのインフルエンザワクチン接種の調査成績はまだ少ないので、現段階では「予防接種によって得られる利益がインフルエンザの危険性を上回ると考えられた場合に接種を行う」といったところでしょう。
軍は、stdのテストが必要ですか?
A:通常可能ですが、重症の卵アレルギーの人は避けた方がよいでしょう。
インフルエンザウイルスの増殖に孵化鶏卵を用いるためにわずかながら卵由来の成分が残りますが、近年は高純度に精製されているのでほとんど問題になりません。しかし、鶏卵を食べるとひどい蕁麻疹や発疹を生じるような重篤な卵アレルギーがある人は、接種を避けるか、注意して接種する必要があります。
A:一般的に副反応は軽微です。
接種局所の、発赤(約10%)、腫脹(約3%)、疼痛(約2%)、37.5度以上の発熱(約1%)をきたすことがありますが2〜3日で消失します。発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などもまれに起こります。極めてまれですが、死亡例の届け出もあります。
これまでの我が国での統計では、インフルエンザワクチンによる可能性があると認定された死亡事故は約2、500万接種あたり1件です。これを宝くじに替えて、考えると300円の宝くじ1枚で75億円あたるよりも難しいということになります。
重症の卵アレルギーの人は蕁麻疹、発疹、口腔のしびれ、ショックなどが現れる可能性があります。また、従来安定剤として含まれていたゼラチンは時にアレルギー反応の原因とされていましたが、現在はほとんどがゼラチンを含まない製品になっています。
【インフルエンザの予防接種の重篤な副作用の頻度】(2003.2.5毎日新聞記事より)
「2000年と2001年度にインフルエンザワクチンを接種者数はワクチン出荷数(1504万本/2年)から約2000万人以上と推定される。このうち7人が急性肝炎、脳症、間質性肺炎で死亡した。10歳未満と60歳以上が65%を占めた。」という内容の記事がありました。
死因をみるとインフルエンザワクチンのためとは考えにくいものもあり、同じ症例を2重に報告している可能性も否定できない、と言うことでした。死因との因果関係が十分に検討されてもいないようですので、この数字はかなり水増しされた数字と考えられます。
2003.2.16記
A:65歳以上と一部の60歳以上の人は補助金がでます。他の人は全額自費で、費用は各医療機関ごとでまちまちです。
2001年の予防接種法の改訂に伴い、●65歳以上の方及び●60歳以上65歳未満の方で心臓や腎臓、呼吸器等に重い病気のある方は、予防接種法による接種対象となりますので、安い料金で予防接種ができます。60歳以上65歳未満の方で、対象となるかどうかわからない場合は、市町村にお尋ね下さい。期間中に対象年齢になる方は誕生日から補助金の対象となります。
そのほかの方の接種費用は全額自己負担です。自由診療のため、予防接種の値段もまちまちです。問い合わせの時には、消費税も含めて総額でいくらになるか聞きましょう。中にはワクチン接種代●●円以外に、別途に診察料○○円、消費税(保険外の売り上げが多い施設)がかかるところもあります。なお、値段が安くても原価が安いワクチンがあるわけではありません。当院では、推奨される人にはできるだけ安価に接種できるように努力しています。価格については、電話でお問い合わせ下さい。
A:委託による接種は市町村の責任となり、それ以外は薬剤の副作用の扱いと同じです。
予防接種法による接種の場合、予防接種と健康被害に因果関係がある場合は、予防接種法による被害救済の対象となります。また、予防接種法によらない接種によって健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法による被害救済の対象となります。健康被害の内容・程度等に応じ、薬事・食品衛生審議会(副作用被害判定部会)での審議を経た後、医療費、医療手当、障害年金、遺族年金、遺族一時金などが支給されます。
詳細な内容は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構にご照会ください。
A:乳幼児の脳炎・脳症を減らし、有効との報告があります。しかし、まだ結論がでておらず、研究調査中です。以下は参考資料の一部抜粋とまとめです。
参考資料:【インフルエンザ最新情報】:Q2:1歳未満児には現在の接種量ではインフルエンザワクチンは効果がない?2004.12.08
日本では、毎年数千人から数万人の小児がインフルエンザにより入院していると推測されています。1歳未満の入院は少なく、1歳以降に急増します。インフルエンザ入院例の大多数は、基礎疾患のない4〜5歳以下の健康な乳幼児です。しかし、現在使われている「不活化ワクチン」は低年齢層では効果は低いことが分かっています。特に、B型インフルエンザへに対する効果が低いと報告されています。大人と違い、小児ではB型もA型と重症度は同程度なので問題です。
菅谷先生は、「心疾患、喘息等のハイリスクの乳幼児には、積極的にワクチンを接種すべきである」と主張してます。一方、健康な乳幼児のインフルエンザワクチン接種効果には限界があるとも述べています。厚生省の調査によれば1999年1月1日〜3月31日までの期間で、インフルエンザに合併した脳炎・脳症217例のうち82.5%が5歳以下で、50例が死亡したと報告しています。死亡例は全例インフルエンザワクチンを接種していなかったということです。乳幼児における最も重症な合併症であるインフルエンザ脳症の予防においては、インフルエンザワクチン接種は有効と考えるのが妥当であり、ワクチン接種はその可能性を低下させると報告しています。
しかし、乳幼児へのインフルエンザ不活化ワクチンの効果はまだ調査中で、その評価は確定していません。なお、乳幼児にも有効な鼻腔に噴霧する弱毒生ワクチン「フルミスト」を、現在米国で開発中です。A型にもB型にも高い有効性が報告され、間もなく実用化するだろうとも言われていますが、まだ未定です。
参考資料 日本医師会雑誌 2000年11月号 著者:菅谷 憲夫 (日本鋼管病院小児科部長)
日本医事新報 2000年11月11日 著者:菅谷 憲夫
「フルミスト」の情報:
【追加情報】2003.2.13号medical tribuneより
インフルエンザワクチン接種小児の臨床像(名古屋大学小児科関連病院)
予防接種を受けても20〜40%はインフルエンザに罹患する可能性がある。予防接種を受けた小児がA型インフルエンザに罹患した場合の症状を検討した報告によると、●小児の場合は発熱の程度、咳・鼻汁などの症状は軽症化しない、●いったん解熱した後に再度熱が上がるという二峰性発熱が減少すると報告した。
以上はワクチンの効用を否定するものではない。また、最重症のインフルエンザ脳炎予防に効果がないとことを示すものでもない。
同発表者も「インフルエンザ予防の基本はワクチンである」と言っている。
2003.1.16追記
A:医療機関ごとに異なります。年末は在庫がなくなりやすいので、11月中に受けることを勧めます。
インフルエンザワクチンは、1本で2人分(小学生では3人分)です。 接種数が少ないところでは無駄にならないように、予約してもらう場合が少なくありません。当院では在庫がなくならない限り、予約なしで接種しています。余った分は、職員や家族に使っています。ただし、12月中旬以降は在庫がなくなることもあるので、出来るだけ11月中の接種をおすすめします。
また、小学生以下は2回接種が必要となります。感冒等で接種が延期になることも少なくありませんので、1回目は11月の早期に予防接種を受けて下さい。ワクチンの有効期間は約5ヶ月と言われ、10月の終わり頃から全国で予防接種が始まります。
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